ときめき♡隠遁記

365日戦闘不能

14歳で魔法界からの迎えが来ないことに気づいた

それまでは至極本気で、然るべき時さえ満ちれば魔法界から迎えが来ると信じきっていた。

 

幼稚園児の頃は、ピアノの椅子に上って、手をパタパタさせながら飛ぶ(飛び降りる)練習をしていたし、

 

小学生の頃は、家の平べったい掃除用の箒に跨って飛ぶ(助走をつけて地面を蹴る)練習をしていた。

 

中学生になって、相変わらず己の容姿は自意識と相容れなかったし、ひとの目はたいそう怖いままだし、運動神経は頗る良くなかったし、数学や地理はからきし要領を得なかったけれど

 

それでもいつか、私は、私ならばこんなオシマイの人間界を抜け出せるのだという

方向音痴のひとが進む道を選ぶ際の絶対的勘のような

確信的な選民思想がそこには在った。

 

でもある日突然気づいてしまった。

 

夢から醒めたのだ。或いは冷めたのかもしれなかった。ついでに、デザイナーになれないことも、イラストレーターになれないことも、パティシエになれないことも、好きなものをただ無邪気に好きなだけでは他者に認められないことも知った。

 

その時初めて、私は世界と向き合った。

 

じぶんの世界をオワコンだと決めつけて俯瞰的な立ち位置を探していた私は、仄暗い中に残されていた醜くも弱いかがやきに縋った。

それは、真面目に素直に不器用に、生きることだった。

 

理想と乖離したじぶんを薄目で見て、そのうちあらゆる不都合を魔法で全て解決出来るようになると決め込んでいた私は、じぶんを直視し、研磨を始め、やがて好きになれるまで10年もかかった。

 

今もおもうに任せぬ部分は沢山あるが、じぶんが愛してやらなければ何の解決にもならないことを学んだ。

 

カワイイ至上主義を経て、漸く大人になろうとしている私は、これから何を選びとり、何を柱として生きていけばいいのだろう。

 

吹っ切れたとおもっていたけれど、やっぱりちょっぴり魔法界からの迎えが恋しい。